アスペルガーのいぬ

何を考えたか

エッセイ漫画について

私は2014年の夏ごろから気が向いたらエッセイ漫画を描いてアップロードするようになった。以前続けて描いていたドラッグアンドドロップという作品は,冊子にして即売会にて配布させてもいただいた。手にとってくれた方々には心から感謝している。

現在は,冊子も完売しツイッターアカウントも削除してしまったため,原書・清書共に私の手元にしか残っていない。再販する予定は今のところない。

それには色々理由があるのだがここでは割愛し,この記事ではエッセイ漫画を描くということについて述べようと思う。

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私は小さい頃から,漫画を読むのが大好きだった。

そして,鉛筆を持てるようになった頃から絵を描くのも大好きだった。

この流れで生まれる将来の夢は「漫画家」である。

しかし,私は将来の夢として漫画家になりたいと宣言したのは,おそらく小学校三年生のとき1度だけである。

単に,漫画家になりたいと言うのが恥ずかしかったのだ。

私はすごく絵が上手いというわけでもなく,面白い話が書けるわけでもない,というのは自覚していた。だから言ってはならないのではないか,言ったら笑われるのではないかという気持ちが強くあった。

 

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余談になるが,実は漫画家になるためには面白い話がかけることは必須ではない。

寧ろありきたりな漫画をどんどん描けることのほうが,金を稼ぐという意味では正解だという。

これは某出版社にて編集をやっている叔母から聞いた話なのだが,読者というのはある程度予想のつく,心地よい後読感を求めているのだという。手にとった漫画が自分の予想から遙か斜め上をゆき,ましてや後味が悪かった場合,そういった漫画を読みたいとか趣味嗜好がそちらに傾いていない限りは,面白いと感じないのだろう。

(一応弁護すると,そういう漫画の需要はあるしそれを目指し続けるのは悪いことではない。ただこのご時世にブルースロックンロールのようなバンドで売れようとするのに近い,いばらの道であることは確かだという話だ。)

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さらに言うと,画力が足りないことや,ストーリーが書けないことに対して努力を繰り返して,漫画家になりたいかと聞かれたら肯定できる自信はなかった。

結果論から言っても,本当になりたかったのであれば小賢しいことは一切考えず,ただただ毎日のように漫画を書き続けていただろう。

つまりは,わたしは大して漫画家になりたいと思っていなかったのだ。だから「漫画家になりたい」と宣言しなかった。ということにもなる。

 

とはいえ,エッセイ漫画を描いてはいる。なぜかたまに,思い出したように。

おそらく,諦めきれないということだけではない。エッセイ漫画を描きたいのだ。

自分の思ったことや周りで起こったことをSNSで共有するのと全く同じ感覚である。

 

いまどうしてる?の問として,文字列で共有することや写真を複数枚並べて共有することは一般的だ。私もそれをするけれど,その中の一つとしてエッセイ漫画が存在している。文字列で表現できることというのは限られていて,私自身それを扱うのはうまい方ではない。

だから,使える”手段としての”漫画的表現を用いたほうが,圧倒的に効率が良かった。自分の感じたこと,思ったこと,考え方をシェアするのに向いている手段がエッセイ漫画だったのだと思う。

 

私は様々なSNSに,これからも思ったことを書き続けるだろう。そもそも話し好きで,かなりのお喋りなのだ。誰かに話しを聞いてほしいと常に思っている。でもコミュニケーションがしたいからではないため,現実の世界で会話はほとんど成り立たない。話すくせに興味のない話は聞かないからだ。嫌な奴であるとは思う。

各種SNSについてもそういう精神でやっているので,他人の投稿をみなかったり,返事をしないというのはそのせいである。SNSの管理者,つながりのある人たちには大変申し訳無いのだが,私はブログ的な使い方をしていると断言していい。

ブログ的な使い方をする理由(あとごく一部の仲の良い人間に一方的に話し続ける理由)は,自分の頭の中が整理されるからである。とりあえず吐き出して並べてみないと,現状把握ができない。頭の中のメモリ*1が少ないから。

 

それらの事実が存在すると同時に,エッセイ漫画だけはできるかぎり「表現する」とか「他者に見せる」ということを意識しているつもりだ。

記録であって,考えや思いであって,共有したいこと。それがわたしにとっての「エッセイ漫画 」である。

 

 

 

*1 頭の中のメモリというのは,認知心理学におけるワーキングメモリを指す。ワーキングメモリは情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。WAIS−Ⅲの検査結果では平均値が100であるのに対し私の値は75であった。WAIS-Ⅲには他にも項目があるのだが,ワーキングメモリだけが極端に低い結果となった。