アスペルガーのいぬ

何を考えたか

平成26年〜平成31年末日

定刻の10分前からそこに居た高円寺駅の黒い影

 


眩暈すら覚えるほどの轟音が血の涙となり「今日も生きたね」

 


深夜バス降りて駆けてく名駅の金時計見下ろした貴方

 


メヌエット響くホームの向こう側逆光で見えぬ高島屋

 


マッチングアプリで得られるお寿司より愛する人と分ける肉まん

 


「大切なことはいつでも目に見えない」咒のように付箋に記す

 


茶軸キー叩いた音が歪んでく映る文字列全てバグ

 


午後出社空いてるシートに横たわるこのまま終点まで行きたい

 


自宅まであと数メートルだヒール脱ぎ逃げ込むように家に入る

 


叩きつけ歪んだ円描くフライパン社会に於る自分の姿

 


コンクリと雨を引いてく車輪の音どこかで聞いた波の引く音

 


ゴミ置場去る回収車すら見えず再び登る重い階段

 


1日に1話だけ飲めるコミックの消化をしているだけの冬

 


共に見て名前を調べたあの花は毎年咲くから嫌になる

 

 

カーテンの隙間から見た天中も夢が醒めれば腹立たしい

 


4枚も便箋を使って書いたのに重みはたったの82円

 


感情を清算するのに有効な手段がお金と悟った7月

 


なにもないなにもしない日が幸福の味を教えに来てくれた